2024年8月2日に最新バージョンである『Drupal 11』がリリースされました。
Drupal 11の導入でより充実した最新テクノロジーを体験してください。

About Drupal 11
Drupal 11とは?
Drupal 11は、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)であるDrupalの最新バージョンです。Drupalは2年程度に1度新しいメジャーバージョンがリリースされており、今回は前バージョンから約1年半でのリリースとなりました。
このバージョンでは、ユーザーエクスペリエンスの向上、パフォーマンスの最適化、セキュリティ強化など、多くの改良が施されています。
新しいテーマやモジュールの追加により、ウェブサイトのデザインや機能を柔軟にカスタマイズできます。また、最新のPHPバージョンとの互換性が確保されており、開発者にとっても扱いやすい環境が提供されています。さらに、モバイルデバイスへの対応やアクセシビリティの向上など、現代のウェブ標準に準拠した設計がなされています。
なお、Drupal 11は2027年6月ごろまでサポートが予定されています。
Summary
Drupal 11の概要
複雑な設定を簡単に適用できるレシピ
レシピは新しい実験的な機能です。コンテンツタイプやユーザーロールといった予め定義された設定をサイトに適用することで、レシピを使ってDrupalに新しい機能を即座に追加することができます。独自のレシピを作成して共有/再利用をしたり、他の人が作成したレシピを適用したりすることができます。
コンテンツ変更を管理するための強力なワークスペースモジュール
ワークスペースモジュールがコアモジュールとなりました。ワークスペースモジュールはコンテンツの変更を管理するための強力なツールセットを提供します。1つのサイトで複数のワークスペースを使用することで、新しいコンテンツのステージングやサイトの全面的な見直しをプレビューできます。
シングルディレクトリコンポーネントによるフロントエンド開発の簡素化
Drupalはテーマ作成において、シングルディレクトリコンポーネント方式をネイティブでサポートするようになりました。これによりコンポーネントに基づいた簡素化されたフロントエンド開発のワークフローが提供されます。各コンポーネントに必要なコードはすべて単一のディレクトリ内に存在し、自己完結型で再利用可能なものとなっています。
Comparison
Drupal 10とDrupal 11の比較
Drupal 10とDrupal 11の違いは、システム要件の更新、新機能の追加、パフォーマンス向上などにあります。
主な変更点を以下に解説します。
システム要件の変更
Drupal 11ではより最新の技術環境を前提とするシステム要件に更新されました。
PHPの最低バージョンは8.3以上となり、データベース要件もMySQL 8.0以上、PostgreSQL 16以上に更新され、パフォーマンスとセキュリティが強化されています。なお、MySQL 5.7のサポートは終了したため、旧バージョンの環境ではDrupal 11を動作させることができません。
また、Microsoft IISのサポートが廃止され、推奨されるWebサーバーはApacheまたはNGINXとなりました。これにより、より安定した環境でDrupalを運用できるようになります。
新機能の追加
Drupal 11では、サイト構築や運用の効率を高める新機能が追加されました。 その一つが「レシピ」で、特定の用途に合わせて予め定義されたモジュールや設定をまとめて適用できる仕組みです。これにより新しい機能を即座に追加することができます。
「シングルディレクトリコンポーネント(SDC)」では、フロントエンド開発のためのUIコンポーネントを統一管理でき、開発者の作業負担を軽減します。
また、Drupal 11では「ワークスペース」モジュールがコアモジュールとなりました。ステージング環境と本番環境を容易に切り替えられ、変更内容を事前に確認しながら公開作業が行えます。
これらの機能により、Drupalの導入や運用がよりスムーズに進められるようになりました。
パフォーマンス・開発効率の向上
Drupal 11では、パフォーマンスの最適化と開発効率向上のための改良が加えられています。まずキャッシュ機能の強化により、サイトのロード時間が短縮され、ユーザーエクスペリエンスが向上しました。特に大規模サイトではこの改善が顕著に現れます。また、最新のSymfonyバージョンを採用しフレームワークのセキュリティと拡張性が向上しました。これにより開発者は最新のPHPフレームワークの機能を活用しながら、保守しやすいコードを書くことができます。さらに、管理UIの改良によりバックエンドでの操作が直感的になり、コンテンツ管理の効率が向上しました。これらの変更により、Drupal 11はより高速で使いやすいCMSとなっています。
How to Upgrade
Drupal 11へのアップグレード手順
- STEP01
ホスティング環境を確認する
ホスティング環境が Drupal 11のプラットフォーム要件に適合していることを確認します。
- STEP02
Drupalコアを10.3にアップデートする
Drupal 10.2.x以前のバージョンを使用している場合はまず10.3.0以降にアップデートします。
- STEP03
スキャフォールドファイルを確認する
Drupal 10からDrupal 11へのアップグレード時には、.htaccessなどのファイルを含むすべてのDrupalコアファイルが変更されることが予想されます。もしスキャフォールドファイルを変更している場合は、アップグレード後に適用有無を確認できるよう、その変更を記録しておきます。
- STEP04
Drupalコアモジュールとテーマを確認する
Drupal 11では、Drupal 10で廃止された複数のDrupalコアモジュールとテーマが削除されています。Drupal 10で廃止されたモジュールの使用を停止するか、データベースを更新する前にコードをDrupal 11にアップグレードする際に拡張機能のコントリビュートバージョンをインストールする必要があります。
- STEP05
コントリビュートモジュールとプロジェクトを更新する
Upgrade Statusを使用して互換性を確認し、コントリビュートモジュールを更新します。
- STEP06
カスタムモジュールとテーマを更新する
カスタムモジュールやテーマを使用している場合、Drupal 10で廃止されDrupal 11で削除されたコードを置き換える必要があるため、Upgrade StatusとDrupal Rectorを使用してそれらを更新します。
- STEP07
Drupalコアをアップデートする
Composerを使いDrupal 11へアップデートします。
Older Versions
過去バージョンのサポート状況
Drupalは定期的に新しいバージョンがリリースされます。各バージョンにはサポート期間が設定されており、セキュリティ更新やバグ修正が提供されています。以下に、主なバージョンのサポート状況をまとめます。
Drupal 7
リリース日
2011年1月5日
サポート終了日
2025年1月5日
概要
広範な利用状況を考慮し当初のサポート終了予定が大幅に延長されていましたが、ついに2025年1月5日にサポートが終了しました。
Drupal 7については、サポート終了後もDrupalアソシエーションおよびDrupalセキュリティチームによりサイト移行を支援するためのリソース、ツール、パートナーが提供されています。詳しくはDrupal 7のサポート終了についてをご覧ください。
Drupal 8
リリース日
2015年11月19日
サポート終了日
2021年11月17日
概要
Symfony 3への依存により、Drupal 8のサポートは2021年11月に終了しました。
Drupal 9
リリース日
2020年6月3日
サポート終了日
2023年11月1日
概要
依存するSymfony 4やCKEditor 4のサポート終了に伴い、Drupal 9のサポートも2023年11月1日に終了しました。
Drupal 10
リリース日
2022年12月15日
サポート終了予定
2026年中旬
概要
Drupal 10は2026年中旬にリリース予定のDrupal 12までサポートが継続されます。
各バージョンのサポート終了後はセキュリティ更新やバグ修正が提供されなくなるため、サポート終了前に最新バージョンへの移行を検討することが重要です。