About Drupal Modules
モジュールとは?
Drupalにおけるモジュールとは、Webサイトに機能を追加・拡張するためのプログラムのことです。スマートフォンにアプリをインストールして機能を増やすのと同じように、Drupalでもモジュールを追加することで、サイトに必要な機能を自由に組み合わせて構築することができます。
Drupalの基本機能はモジュールで構成されています。「記事」「製品情報」といったコンテンツを管理する「Node(ノード)」、ユーザーアカウントや権限を管理する「User(ユーザー)」、コンテンツに画像、日付、テキストなどのフィールドを追加する「Field(フィールド)」はコアモジュールとしてDrupal本体に標準搭載されているもので、Drupalのコンテンツ管理機能の基盤となっています。
さらに、高度なモジュールや世界中の開発者コミュニティが開発したモジュールを選定し追加することで、問い合わせフォームの設置、SEO対策の強化、多言語対応、EC機能の追加など、ビジネスニーズに合わせた柔軟なサイト構築が可能になります。
世界中の開発者コミュニティによって開発されているモジュールは、2025年11月現在5万件以上公開されており、基本的な機能から高度な機能まで、幅広い選択肢の中から最適なものを選んで導入することができます。
Module Types & Features
モジュールの種類と特徴
Drupalのモジュールには大きく分けて「コアモジュール」「拡張モジュール(コントリビュートモジュール)」「カスタムモジュール」の3種類があります。
コアモジュール
Drupal本体に初めから含まれているモジュールで、有効化するだけですぐに使うことができます。ユーザー管理、コンテンツ作成、メニュー管理など、サイト運営に必要な基本機能が含まれており、Drupal本体と一緒にアップデートされるため、安定性とセキュリティが保証されています。また、Drupalの新しいメジャーバージョンがリリースされる際にはコアモジュールの構成が見直され、より重要度の高い機能が標準搭載されたり、逆にコアから切り離されて別途インストールが必要になるなど、最適化が図られています。
拡張モジュール
世界中の開発者コミュニティが開発・公開している拡張モジュールです。Drupal.orgで公開されており、無料で利用できます。それぞれのモジュールには利用実績やメンテナンス状況、セキュリティ対応の履歴が公開されているため、信頼性を確認しながら選定することができます。
カスタムモジュール
企業や開発者が独自のニーズに合わせて開発するオリジナルのモジュールです。コアモジュールや拡張モジュールでは実現できない特殊な機能や、既存システムとの連携、独自のビジネスロジックなどを実装する際に開発します。自社専用の機能として柔軟にカスタマイズできるため、競合他社との差別化や、複雑な要件への対応が可能になります。開発には専門的な知識が必要ですが、サイトの独自性を高める強力な手段となります。
Drupalのモジュールは、単独で動作するだけでなく、他のモジュールと連携して動作するようにも設計されています。この柔軟な組み合わせ方によって、複雑な要件にも対応できる拡張性の高いサイト構築が実現できます。
Core Modules
サイト構築に役立つコアモジュール
基本的なコンテンツ管理機能に加えて、Drupalには標準で以下のような高度な機能を持つモジュールも搭載されています。
Media(メディア)
用途
メディアファイルの一元管理
主な機能
- 画像、動画、音声、ドキュメントなどの一元管理
- メディアライブラリでの検索・絞り込み
- 同じメディアファイルの複数コンテンツでの再利用
- YouTube、Vimeoなどの外部メディアの埋め込み対応
- メディアタイプごとのカスタムフィールド設定
Mediaモジュールを使えば、サイト内の画像や動画などのメディアファイルを専用ライブラリで管理できます。例えば「会社ロゴ」を一度アップロードすれば、複数のページで同じファイルを参照でき、ロゴ変更時も元ファイルを更新するだけで全てのページに反映されます。各ファイルをカテゴリー分けして整理することができるほか、過去にアップロードしたファイルを名前などで検索してコンテンツに組み込むこともできます。
Workflow + Content Moderation(ワークフロー + コンテンツモデレーション)
用途
コンテンツ承認フロー管理
主な機能
- 複数ステータスの定義(下書き、レビュー待ち、承認済み、公開済みなど)
- ロールごとの権限設定
- 公開済みコンテンツを維持したままでのコンテンツ編集
- 変更履歴の記録
コンテンツの状態遷移を定義するWorkflowモジュールをContent Moderationモジュールと組み合わせて使用することで、チームや組織内でのコンテンツ運用時に「下書き→レビュー→承認→公開」といった承認フローを実現できます。複数人で安全にコンテンツを管理したい企業サイトや組織サイトに最適です。
Contributed Modules
おすすめ拡張モジュール
世界中の開発者コミュニティによって開発されている数万種類のモジュールの中から、サイト構築で特に活用されているおすすめモジュールを紹介します。
Webform(ウェブフォーム)
用途
お問い合わせフォームやアンケートの作成
主な機能
- メールアドレス、電話番号、テキスト、ファイルアップロード、日付選択など20種類以上の入力項目
- 「Aを選んだ人にだけ追加質問を表示」といった動的な条件分岐
- フォーム送信時の自動確認メール送信
- 送信されたデータの一覧表示、CSVエクスポート、集計
Webformモジュールを使えば、企業サイトやECサイトには欠かせないお問い合わせフォームやサイト内でのアンケートフォームがすぐに作成でき、管理画面から必要項目を選んで設定するだけで簡単に構築することができます。入力必須項目の設定や形式のチェック、条件分岐、データのCSVダウンロードなど、実務で必要な機能が標準で揃っています。
Metatag(メタタグ)
用途
SEO対策
主な機能
- 検索結果に表示されるタイトルとスニペットの最適化
- OGP(Open Graph Protocol)対応(シェアされた画像のタイトルや説明を設定)
- 正規URL(canonical)設定(重複コンテンツのペナルティを回避)
- robots meta設定(特定ページを検索エンジンにインデックスさせない制御)
Metatagモジュールを使えば、検索結果やSNSでの見え方を最適化するメタ情報を管理画面から簡単に設定できます。サイト全体のデフォルト値設定はもちろん、コンテンツタイプごとや個別コンテンツごとにも設定が可能です。
Paragraphs(パラグラフ)
用途
柔軟なページレイアウト構築
主な機能
- 再利用可能なコンテンツコンポーネント(段落タイプ)の作成
- ドラッグ&ドロップでの並べ替え
- 入れ子構造のサポート
- 無制限のコンポーネント追加(同じ型を複数回使用するなど)
Paragraphsモジュールを使えば、コンポーネントを組み合わせて柔軟で美しいページレイアウトを作成できます。「テキスト+画像」「アコーディオン」「タブ」「カルーセル」「ボタン」など、開発者が定義したコンポーネントを、編集者がドラッグ&ドロップで自由に配置し並べ替えることが可能です。同じコンポーネントを同ページ内で何度でも使用でき、入れ子構造にも対応しています。デザインの統一性を保ちながらページごとに異なるレイアウトを実現できます。
Tips for Choosing Modules
モジュール選定時の注意点
Drupalのモジュールは世界中の開発者によって数多く公開されていますが、すべてのモジュールが安全で信頼できるものとは限りません。拡張モジュールの場合、様々な開発者によって作成されており、コードレビューも開発者同士で行っているため、品質がモジュールによって大きく異なります。 モジュールを選定する際には機能そのものだけではなく安全性をはじめとしたいくつかの確認を行う必要があります。
セキュリティ対応
まずはセキュリティ体制が整っているかを必ず確認する必要があります。 各モジュールページに「Stable releases for this project are covered by the security advisory policy.」と記載がある場合、そのモジュールの安定版はDrupalセキュリティチームにより監視対象となっています。脆弱性が発見された場合にはDrupal.org上で公式セキュリティアドバイザリが公開されるため、セキュリティアドバイザリページや各モジュールのページで脆弱性やセキュリティアップデートの有無を確認することができます。
メンテナンス状況とコミュニティの活発さ
各モジュールページで最終更新日や未解決のIssueの数などを確認することで、そのモジュールが継続的にサポートされているかどうかを判断することができます。長期間更新されていないモジュールは、将来的にDrupalのバージョンアップに対応できないリスクがあります。また、Issueキューでのメンテナの反応速度や対応品質も、モジュールの信頼性を測る重要な指標となります。
利用状況
各モジュールのページでは、どのくらいの数のサイトがそのモジュールを使用しているかが掲載されています。利用サイト数が多いモジュールは、それだけ多様な環境・要件でテストされ実際に動作が確認されていることを意味するため、重要な指標の1つとなります。また、ユーザー数が多ければ脆弱性が発見されるスピードが速く、修正版もすぐに提供される傾向にあります。
互換性や依存関係
Drupalコアとの互換性、外部サービスとの依存関係、他モジュールとの依存関係を確認することで、今後のアップグレードがスムーズに進むかどうかある程度の予測が可能です。最新のDrupalバージョンに対応していない、終了予定の外部サービスに依存している、依存モジュールが多すぎるなどの場合は注意が必要です。また、依存モジュールがある場合はそれらのモジュールについてもセキュリティ対応やメンテナンス状況を確認する必要があります。
多言語対応
多言語サイトに導入するモジュールを検討する場合、管理画面やユーザーインターフェースが翻訳可能かどうかや、言語ごとに設定変更が可能かどうかも大事なポイントとなります。必要に応じて Interface Translation、Content Translation、Configuration Translationなどのモジュールに対応しているかどうか確認が必要です。
ライセンス
Drupal.orgで公開されているモジュールは、Drupal本体と同じようにGPLライセンスの元で配布されるため、商用/非商用に関わらず無償で利用が可能です。しかしながら、外部のサービスと連携するモジュールの場合は、そのサービスの利用に費用がかからないかどうか、確認する必要があります。
モジュールの選定・導入・開発はデジタルサーカスにお任せください!
Drupalのモジュールは、適切に組み合わせることであらゆるWebサイトを構築できる強力なツールですが、数万種類の中から最適なモジュールを選定し安全に運用していくには専門的な知識と経験が必要です。
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